シルクロード 10万年の歴史と21世紀


「シルクロード」は、長安からローマまでを基軸としながらも、人類が地球上あらゆる地域の砂漠・草原・山岳・海洋をむすび、多くの文明・言語・宗教が往来した「地球ネットワーク」だったと思えるのです。さらにいえば、シルクロードは、決して古代や中世から、あるいは19世紀末から20世紀初頭にかけての探検時代までという期限つきのことではなく、シルクロードの過去数千年いや、十数万年の歴史と、今後21世紀のかなり奥深いところまで、さらには人類文明が続く限り、未来永劫続くものと思えるのです。 (「まえがきに代えて」より)


本書を推薦します。土井大助(詩人)
本書の眼目はなんといっても、シルクロードを長安~ローマの交易行程にとどまらず、その歴史的意義を21世紀の今日まで人類文明が交流・融合してきた全地球的ネットワークとして考察報告されたことである。
世界史、現代史に一石を投ずる大胆かつ率直な問題が提起されていて、読者を刺激してやまない。

著者は、永年、実地探査を重ね、研究と考察を繰り返してきた。本書では、シルクロードの歴史の明暗を世界平和、人間平等の視点から豊富な資料と史実で具体的に跡づけながら、随所に現代につながる人類史の課題を積極的に引き出しつつ、現代人が深めるべき歴史・文化・民族認識の問題点が省察されている。

著者はこう書いている(「あとがきに代えて」) 。
「従来のシルクロードは長安からローマまでという概念から、その向ける眼(まなざし)を、人類文明の従来あった地球すべてに向けるならばシルクロードの興亡の歴史、文明往来の歴史とともに、侵略と戦争、平和と友好の実相がくっきりと浮かび上がってくるのではないでしょうか」
「いまや、『戦争と侵略の道で、あったシルクロード』を『平和のシルクロード』に転換させる21世紀になっている」とも書かれているように、今日、世界は大きく変貌しようという明暗こもごもの予感と萌芽に満ちている。

世界の東西でテロ続発、「民族紛争」多発、また地球環境破壊の危機、欧米中心の資本制社会の矛盾の未曾有の深まり、飢餓・疾病・貧困の地域は跡を絶たず・・・。いっぽう、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国の自立的経済力と相互連帯の強まり、広がり・・・。核廃絶、民族の友好、恒久平和への希求の高まり・・・。
10 万年の歴史をふまえて21世紀の世界史的展望を語るとき、本書の示唆する事実と問題提起は、時宜を得た重要な意味をもつだろう。
「シルクロードはその意味を超えた人類文明のネットワークであり、人類が永遠に探求すべき平和の道でもありますj という著者の結びの言葉には、千金の重みを感ずるものである。


A5版264ページ+カラーグラビア8ページ 1,890円 (税込み)
著者:野口 信彦
発行所:株式会社 本の泉社
ISBN978-4-7807-0482-2

2009年10月末発売




もうひとつのシルクロード
 −西域からみた中国の素顔−

 イスラム文化と政治、少数民族問題、深刻な環境問題そして貧困と差別。
 ウイグル族などの生活と文化の中に、現代中国の光と影が浮かび上がる西域見聞録。


本書を推薦します。守屋益男(日本勤労者山岳連盟会長)
  「シルクロード」、このロマンに満ちた言葉は未知なるものを求めるわたしたちの心を熱くする。
 雪を頂く天山、崑崙、パミールの山、熱砂のタクラマカン沙漠、ラクダ、オアシス。
 しかし、ここにも現代の人々の営みがあり、政治、経済、社会、文化がある。著者はこのシルクロードに魅せられ、中国新疆に足繁く通い、シルクロードの現状をつぶさにルポルタージュした。
 環境問題、民族問題、イスラム教、そして現地の人々との心温まる交流。ヒューマンな著者の息吹が感じられる現代のシルクロード事情。好著である。


46版並製カバー204ページ 2,100円(税込み)
著者-野口 信彦
発行者-中川 定
発行所-株式会社 大月書店
ISBN4-272-61055-4



幻想のカイラス
-不思議の国のチベット・ランクル紀行-


 「チベットでは、どこに行ってもタルチョーがたなびいている。
 それは、チベットでは単なる“旗”ではない。それは、すべての
 生きとし生けるものに代わって、幸せな輪廻転生の祈りにのせて
 天まで運んでくれる天馬なのだ」。




133ページ 1,714円+税
著者-野口 信彦
発行者-篠崎 泰彦
発行所-東研出版
ISBN4-88638-239-8



ようやく聞けた肉声

 マルコ・ポーロや玄奘三蔵が旅したシルクロードの存在を知らぬ日本人はほとんどいまい。しかしその道の大半を占める中国の新疆ウイグル自治区の現状は、ほとんど知られていないと言ってよい。

 一昨年にNHKによって放映されたテレビ番組も、30回近くも当地を訪れている筆者によれば、「中国政府の基準に沿った」内容でしかない。

 本書は、2004年の実に1万5千キロに及ぶシルクロードの旅の記録が中心で、ウルムチ、トルファン、カシュガルなどの各都市の歴史と現状を取材している。ウイグル人たちの動向に神経を尖らす中国政府のもと、誰もその歴史を語りたがらず、また本音を言いたがらないなか、現地で信頼されている著者が得た、抑圧された住民の肉声は貴重である。

 豊富な写真も旅心を刺激する。シルクロードを実際に旅してみたくなる本だ。

  『週刊朝日』07年5月4日号  土屋 敦 評より


Copyright (c) 2004-2010 日本シルクロード文化センター All Rights Reserved