回族は人口約900万人。主に寧夏回族自治区に集中して住んでいます。彼らは1千年もの長い間、中国各地で生活を続けてきたため、漢族と混血した人々も多く、身体的特徴や風俗、文化などに関してはほとんど漢化したようにみえます。

 回族は独自の言語や文字を持っていません。漢語や漢字を使います。着るものもほとんど漢人と同じで漢人と結婚する率も高いのですが、漢語のできない民族と結婚することは余りなく、家の中の飾りつけも漢人とほとんど同じです。 

 回族はイスラム教を信仰しており、集団で住んでいる街々に清真寺と呼ばれるモスクを建て、モスクを囲んで居住することが特徴にもなっています。

 回族のルーツは、唐の時代、交易のためにアラブ、ペルシアから長安に来た人々に源を持っているといわれていますが、13世紀以降、チンギスハーンのモンゴルが中央アジアのブハーラ、タシケントなどを劫略した際、多数のイスラム教徒を奴隷としてモンゴル、のちの元に連行したことに始まるともいわれています。

 一方、私の友人の研究者は、「彼らは海路、広州を経て渡来した」と主張する人もいます。回族の由来はいまだに解明されていない部分が多いのです。 

 回族の男の子は他のイスラームと同様に7歳になると割礼をしますが、逆にお葬式は他のイスラームとは区別して、回族の墓場があります。彼らは市内や商店街で商売をするのが巧みで、みな頭に白い帽子をかぶっています。それで漢人との見分けがつくのです。

 19世紀後半の清朝末期「太平天国」という全国的な大反乱が起きた際、回族の集中していた地域では漢族と回族の反目が激しくなり、ついに太平天国の乱の一支流であった回族大反乱に発展し、雲南省の大理に政権を樹立したこともありました。

 反乱は雲南から新疆、西北を中心として18年間に及び、虐殺された人口は百万人を越えるとも言われた悲劇の民族でもあります。

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