日本シルクロード文化センター

第3回シルクロード講演会(2009年11月7日、狛江市中央公民館)報告
日本シルクロード文化センターが、毎年1回開いてきた「シルクロード講演会」ですが、今回は事務所のある狛江市の中央公民館で開催し、1都3県から36名の方々が参加されました。
まず会員が撮影してきたシルクロードのスライドでイメージを膨らませて、いよいよ講演。
講師はカナダ在住のウイグル人研究者であるアルズグリ先生で、歴史、民族、言語、文化圏など多岐にわたる話を流暢な日本語で話して下さいました。
1時間の予定の講演が、フロアからの質問も交えながら2時間にわたる熱演になりました。

アルズグリさん はじめに最近テレビ番組で、アルズグリさんのふるさとであるトルファンのアスタナ遺跡から約3000年前のどんぶりに入ったうどんの化石が見つかり、トルファンがうどんの原産地であることが証明されたという話を、とても嬉しそうに話されました。

ウイグルの仏教文化が栄えたのは1世紀から10世紀で、その後イスラム教が入ってきて現在に至っていること、仏教は砂に水がしみ込むように自然に受け入れられたが、イスラム教は、オアシスの領主をまず改宗させて、その領民をイスラム教にしてしまう強引なものだったこと、イスラム教を受け入れるまでに400年の戦いがあったことが話されました。
仏教以外にも、マニ教や景教の影響もあったこと、オアシス毎に異なる言語、文字を使っており、カロシュティ文字、サンスクリット文字、トハラ文字、ソグド文字、チベット文字、古代ウイグル文字など多様な文字があったそうです。
これまで日本の研究者が、ウイグルの地には4つの文化圏があると指摘してきましたが、アルズグリ先生は、オアシス毎に異った言語、文字、風俗習慣を持っており、1)カシュガル、2)ホータン、3)クチャ・キジル、4)ロプノール、5)トルファン・ハミ、6)敦煌の いわゆる「6つの文化圏」論を提示しました。

ウイグルの仏教遺跡は、これまで3つの破壊にあってきた、それはイスラムによる破壊、列強各国探検隊による発掘や文物の持ち去りなどの破壊、最後は文化大革命による破壊でした。
現在仏教遺跡の発掘調査はほとんど行われておらず、まだまだすばらしい遺跡がタクラマカンの砂の下に埋まっているに違いないというお話でした。

また、仏教文化の遺跡があるからこそ、世界中から人が見に来ることによってウイグルが知られて行くこと、 さらに、今年7月5日のウルムチの事件は、1万人ものウイグル人が「消えた」大変悲しい事件だったが、これは、ある意味ではウイグルの新しい歴史を創り出す事件でもあったという指摘をされました。
これには、かねてからシルクロードの古代仏教に関心のあった参加者からも、「私はあの事件後、何人ものウイグル人から意見を聞いたけれど、そのような視点からあの事件を見る意見は初めてだ。大変すばらしい」、との意見も出されました。

ご紹介できないほかの貴重な質問や意見も含めて、講演者と聴講者が一体となって意見を交わしあい、疑問を解決していくという、内容の濃い、しかも和気あいあいとした集いとなりました。

最後に、会代表から来年の月1回の「シルクロード講座&サロン」のおおまかな年間の講師とテーマが紹介されるとともに、2010年のシルクロードツアー(概要)の計画も提示されました。

第3回シルクロード講演会のお知らせ
講演会



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