日本シルクロード文化センター主催
シルクロード講座とシルクロードサロン
第6回:10月10日(土)13:00〜16:00
シルクロード講座:「パミールのシルクロード」
      〜記録に残ったルートを、自分の脚で再確認する〜
     報告:本多海太郎(シルクロード研究者)
シルクロード・サロン:近著「シルクロード ―10万年の歴史と21世紀」で伝えたかったこと      日本シルクロード文化センター代表 野口信彦
場所=「みんなの広場」(小田急線和泉多摩川駅から歩いて5分)

第6回の様子(報告:周東)

第6回目を迎えた「シルクロード講座&サロン」は16名の参加で行われました。

今回はシルクロード研究家の本多海太郎さんを講師にお迎えして、シルクロード中の難所であるパミールとはどういうところか? 人々はどういう状況の時にどのルートを採ったのか? 19世紀以来の探検調査は、どう行われたのか? そこは、現在どうなっているのか? など興味深いお話を伺いました。

シルクロード講座:
様子1本多さんのレジュメをもとに、内容を簡単にご紹介します。

◆何故 シルクロードなのか
 学生時代に中国史を学んだが、当時はシルクロードへ行けなかった。
 定年近くなって行くことが出来るようになった。

◆何故パミールなのか
・オアシスはみんなが行っている。
・パミールは登山家だけの世界だった。
・政治情勢から今まで行きたくても行けなかった所
・シルクロードの結節点、分岐点として重要な所

◆所謂シルクロードには大きく分けて三つのルートがある
 1 草原の道
 2 オアシスの道
 3 海上の道

◆オアシスの道の結節点がパミール

◆パミール通過にも大きく分けて三つのルートがあり、使われ方からの分類も出来る
  1 民族移動の道:人間、家畜 草のある所を選ぶ
  2 交易の道:政治状況、軍事状況により、より安全・有利な所を選ぶ
  3 軍事行動の道

◆どのルートを通るかは目的に応じて。
  特に2の通常の交易の場合、その時の政治情勢に応じて選択
  言い換えれば、常に政治的理由からメインの通行路は選ばれる
  現代でも同じ 中国がタジキスタンの道路整備に力を入れるわけ。

◆パミールを通った人たちの記録から
  法顕  宋雲・恵生  玄奘  悟空
  マルコポーロ
  張騫  甘英  李広利  高仙芝
  19世紀以降の探検家達
   J・ウッド F・ヤングハズバンド S・ヘディン
   G・N・カーゾン A・スタイン 大谷光瑞他
   (平位 剛 本多・井手)
  アフガニスタン―中国(特に清朝の西域拡張)
  英露のグレートゲーム
  ソ連のアフガニスタン侵攻

◆パミールの旅行事情
  ガイド 道路 宿 食べ物 風景 動物 温泉 軍隊 他
  たくさんの美しいスライドでパミールを紹介していただきました。

◆冬でも通行可能 むしろ冬の方がいいことも
  3000〜4000メートル以上でも南のパミールは雪は少ない
  雪から枯れ草が出ている(駄獸のエサがある)
  川は凍結 障害物のない通路 虫がいないので快適なことも

次にすばらしい写真をご紹介します。

マルコポーロが報告した「パミール山中の大きな羊(俗称マルコポー・ロシープ)」の群
ゾルクル
アムダリア(ギリシャ語ではオクサス)の源流の一つ、ビクトリア湖(現地の 言葉でゾルクル)
 冬のパミールのユルト
冬のパミール山中で放牧をする(キルギス人)家族のユルト(テント)
パミール山中の小部落
パミール山中の小部落。氷河谷が砂礫で埋め尽くされた平原をパミールとい う。

シルクロードサロン:
様子2 日本シルクロード文化センター代表 野口信彦さんが、2007年1月から2009年3月までのシルクロード講座をまとめた近著「シルクロード―10万年の歴史と21世紀」で伝えたかったことを紹介しました。   

終了後は恒例の交流会。楽しい話題が飛び交っていました。

<2009年度のこれからの予定>
第7回 12月12日(土) 13時〜16時
講座:
1)「モンゴルが人類史に与えた歴史的役割」
      講師:野口信彦(日本シルクロード文化センター代表)
2)「民族の響きを創り出す」
      講師:青木隆紘さん(東京外語大博士課程在学中、モンゴル国の音楽と政治の関係を中心に研究)
サロン:
  モンゴル舞踊
      解説と踊り:佐藤淳子さん(東京外語大卒、モンゴル舞踊家のマンダブインに師事)

第8回 1月9日(土)
第9回 2月6日(第1土)
第10回 3月6日(第1土)

<問合せ先> Tel & Fax: 03-3480-4478(野口)
E-mail:silkroad-j@mtj.biglobe.ne.jp
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