日中友好新聞連載シリーズーシルクロードの光と影
第 11 回
「セランド」の6つの文化圏
前回提起した新疆の「セランド」論に基づいた6つの文化圏を紹介しましょう。

(1) カシュガル(疎勒)文化圏は、タクラマカン沙漠の西にあり、西域北道と西域南道の西の交差点に位置しています。トゥムシュク、マラルバシ、ヤルカンドまでの三角形の地域を中心とし、パミール高原とタシュクルガンに至る広い地域を示す歴史的な地域です。

(2)ホータン(和田)文化圏は、タクラマカン沙漠の南縁に位置し、西域南道沿いのグマ、カラドゥン、ダンダンウィリク、ケリヤ、ニヤ、チェルチェンまでの地域を中心としたオアシスを示すこの地域は、初めに仏教を受け入れたため、仏教遺跡が数多く残されています。もともと仏教寺院遺跡のあったコックマリム(庫克瑪日木・賛木廟)石窟とイマムアスム(伊瑪木阿斯木)古墳は、現在、イスラーム教の聖地となっています。

(3)クチャ(庫車)・カラシャハール(焉耆)文化圏は、タクラマカン沙漠の北、天山南麓中央部に位置し、西域北道の中間にあるアクス、クチャ・カラシャハール・ショルチュク地域を中心とした場所を示します。仏教美術のふるさととなる「亀茲国」と仏教文化の「華」となる飛天は、この文化圏の象徴となっています。

(4)ロプノール・楼蘭文化圏は、タクラマカン沙漠の東に位置し、トルファン、ホータン文化圏にまたがり、西域北道と西域南道を結ぶクロライナ(楼蘭)・ロプノール・ミーラン(米蘭)、チャルクリク地域を中心としたロプ沙漠地域を示します。この地域の代表的な場所であるザグンロク(扎滾魯克)古墳群とチェルチェン(且末)に残る仏教の足跡とトグラクムラ(托乎拉克)莊園、チェルチェン(且末)は、貴重な仏教文化遺跡です。

(5)トルファン(吐魯番)・ハミ(哈密)文化圏は、タクラマカン沙漠の東、タリム盆地とジュンガル盆地の中間に位置し、西域北道と西域南道の東の交差点、草原の道と西域北道沿いのトルファン、ハミから敦煌(沙州)までの地域及びチョル・タグ砂漠を中心とした場所にあります。仏教国となったトルファンに残る仏教寺院「吐峪(トユク)溝千仏洞」は、現在、イスラームの聖地となっています。さらに、ハミ(哈密)にあるイスラームの墓「ケイス墓」にも、仏教の様相が見られます。

(6)敦煌文化圏は、ロプノール・楼蘭文化圏とトルファン・ハミ文化圏の東に位置し、草原路(ステップルート)、西域南道と西域北道が合流する場所にあります。南はアルトゥン山、西はミーラン・楼蘭地域、北はハミ、東は玉門関につながり、柳園、現在の敦煌、安西地域を中心とする場所です。

第12回へ
「シルクロードの光と影」トップページへ