日中友好新聞連載シリーズーシルクロードの光と影
第 14 回
タクラマカン沙漠周縁の文化圏紹介 (3)クチャ文化圏
クチャ(庫車)・カラシャハール(焉耆)文化圏は、タクラマカン沙漠の北、天山南麓中央部に位置し、西域北道の中間にあるアクス、クチャ・カラシャハール・ショルチュク地域を中心とした場所を示します。仏教美術のふるさととなる「亀茲国」と仏教文化の「華」となる飛天は、この文化圏の象徴となっています。

クチャ・焉耆(えんぎ=カラシャハール)文化圏は、タクラマカン沙漠の北、天山南麓中央部に位置し、西域北道の中間にあるアクス、クチャ(亀茲)、カラシャハール(焉耆)、ショルチュク地域を中心にした地域を示しています。

クチャ・アクス・カラシャハール文化圏の特徴

クチャ(亀茲)は、4世紀ごろから大乗仏教が花開いた、西域諸国天山南路の中部、タリム盆地の北縁に位置しているオアシスのひとつであり、十六国の時期、亀茲の有名な仏教大師、中国古代三大仏教経典翻訳家として世界に知られている鳩摩羅什(クマラジュー)の生まれた場所でもあります。さらにクチャは紀元383〜386年、前秦呂光の記録によると「葡萄酒で客を接待する客好きの胡人」と記録されています。

クチャでは胡楊樹と駱駝草も多い。渭干河(ムザルト河)とクチャ河と2つの河があり、クチャ文明の発祥地と呼ばれている。キジル千仏洞はその渭干河の北岸にある谷間に位置しており、その地下水源は豊富で、砂漠を30〜100メートルぐらい掘ると水が出ます。

クチャの天山山地の中に南天池と呼ぶ大龍池があり、ここは山々に囲まれ、海抜が2300〜2380m。長さは2.5km。玄奘三蔵の「大唐西域記」の中では「龍池」と記録されています。

クチャの年間の降水量は64.5ミリーメートル。降水量が一番多かった1958年の最大の降水量は94.5ミリメートルもあり、夏、平均気温32.1度、最高気温は41.5℃になります。

クチャの南は海抜1000m、北の方は5〜6千mあり、4〜7月は、砂嵐や風が一番多く、3〜4日間続くことがあり、そのクチャは杏の産地と知られ、産出量や品種も多く、杏には23種類の杏があり、新疆では杏の種類が一番多いとされています。また葡萄、ざくろ、桃、梅、棗(なつめ)、イチジクなどもたくさんとれ、クチャの羊皮や小刀も有名です。

クチャは昔から「ムカーム」の故郷と呼ばれてきたので、クチャ・ムカームはとても有名です。ムカームと言うのは「大曲」という意味になり、クチャのキジル千仏洞に描かれた伎楽飛天は、クチャが昔から音楽の故郷であったことを証明してくれています。

クチャの主な仏教遺跡

カラシャハール:焉耆(えんぎ)は、西域北道上にある主要なオアシスの一つ。新疆ウイグル自治区中部天山南麓にあるオアシスの町。付近にミンオイ、ショルチュクなどの仏教遺跡がある。ここの遺跡からソグド語の銘文を刻んだ銀器も発見された。ここに、仏教の寺院が存在していた同時に、ソグド人の信仰したゾロアスター教の神殿もあったと聞く。

クチャ(石窟)千仏洞:新疆・白城県キジル町の東南7キロにある石窟群。

クムトラ千仏洞:クチャの西南32km、ムザルト河の左岸にあり、キジル下千仏洞といわれた。

シムシム千仏洞:クチャ県の東北約40キロにある。シムシムとは、古代ウイグル語で「小河が流れている」の意であるという。シムシム石窟も4世紀ごろから創建されたという。

クズルガハ千仏洞:クチャの北方約12キロ、高さ約18メートルのほうかだい(烽火台)がある。ここから約3キロに小高い砂山があり、中腹に穴が見える。そこがクズルガハ石窟である。

スバシ故城:クズルガハ千仏洞から一旦市内に戻り、ついでクチャ川に沿って北上すると、スバシ故城である。

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